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日本最古の朝廷がおかれた奈良県は、古来からのくすりの原料である生薬とも深い関わりをもっています。疫病に備え、大和を中心とする近畿地方で薬用植物が栽培されたほか、中国等の諸外国から渡来の生薬も大和に集まりました。
また歴史的な要因だけではなく、地質的にも恵まれた奈良県は、種々の生薬の栽培に適した環境にあり。周囲を山地に囲まれ、十分な降水、夏期の暑さと冬期の寒冷、積雪の少なさなどです。
江戸時代に入って、古くから薬用植物の栽培が行われてきた大和地方(奈良県)は、重要な一地域となりました。そして、より日本人の体質に合った、優良な生薬の種苗が育てられ、栽培されました。
明治時代になると、北海道では開拓政策のもとで、薬用植物の大規模な栽培化が行われ、国内での生薬の栽培の中心は北海道となりました。
しかし、大和地方を中心として育まれた国内種苗とは、気候風土等の条件が異なり、またなるべく手間をかけない大量生産が中心となったため、それまでの品種とは違う生薬が栽培されることが多くおこりました。
(参考:「ならの薬のプロフィール」)